*PBMを遊ぶ人のゲームメモ。架空世界の話メイン。
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Booo.
2007-08-14 Tue 14:39
 夏風邪はバカがひくものだとどこかで聞きましたが、そうだとすれば私は自分をバカだと思います。――だいぶ復活してきました、Sieです。
 ぶうぶうさん(クリックすると10円貯金できる)を復活させました!
 ら、マッハで+200円くらいされていて驚きました。

 増えとるがな! 有難う御座います(笑)。

 そんな事とは関係なく、あまねとミツのプラリアを一本。裏から持って来ました。折りたたんであります。八十神に来る前の話。この電車のシーンを書くのは2度めか3度目か、兎に角初めてじゃないと思いますが。
 きょうだい、という名で括れない輪契者ふたりの話。お好きな方は続き(READ MORE)をどうぞ(クリックしてください)。
 
 
 
*** 
 嫌な夢を見た。
 穂積あまね(ほづみ・-)は記憶を遡る。
 夢の中、自分は夜行列車に揺られていた。傍らには、金色の綿毛が眠っている。ふわふわと揺れるそれをそっとなでると、身じろぎひとつせず眠る少年が、不安そうだった寝顔が、かすかに微笑む。
 それが余りにも幸福そうで、あまねの胸はつくんと痛んだ。
 涙が出そうになる。
 いつだか、そう、いつも「いつだか」と呼ぶ前世は、実のところ西暦から季節まで正確に思い出せる。西暦。その時刻。どこの国で、何と呼ばれた自分が――今、腕密月(かいな・みつづき)と呼ばれる少年の姿をしたこれを、どうやって傷つけ死に追いやったのか、その全てを護れなかったのか、むしろ殺したのか、その一部始終を思い出せる。
 なのにこれは、自分の傍らで眠る。
 恐ろしかった。
(化け物)
 あまねは目を閉じる。
(何故お前が生きている)
 化け物。
 それは自分に相応しい呼称であるように思われた。
 これから向う八十神でも、自分と同じアーキタイプ(それはウルリーカと呼ばれた魔女)の輪契者はさほど多くない、という話で、担当者が存在を特定仕切れていなかったことを考えると、ひょっとしたら居ないか、居たとしてもほんの数人、それすらも居るかどうか。
 だとすれば、ウルリーカの名を冠する輪契者は、自分と、居るか居ないか分からない数人、という事になる。
 かたん、かたん、かたん……
 聞こえるか聞こえないか、レールを跨ぐ車輪の音。
 かたん、かたん、かたん……
 自分が罵られるのは構わない。
 だが、それによって、ウルリーカが、自分の魂の源が不本意な評価を受けるのは避けねばならない。彼女に罪は無い、と、あまねは考えていた。
 だから。
 あの呼称は、自分に宛てられたもの。
 風を入れるため、あまねは窓を開けた。両手は彼の弟の、柔らかい体でふさがれている。が、窓は遠慮がちに、かたんと小さな音を立てて開いた。
 静かな夜風が吹き込んでくる。
(化け物)
 ……ウルリーカ、第三の腕。
 見えざる手で物を動かす『運命』、その力。
 だが、そう叫んだ男は、あまねの全てを疎んだ。あまねに流れる血も、その体――あまねに繋がる全てを嫌っていた。たぶん、そうまでして嫌ったのに、あまねが一向に動揺する気配を見せなかったのも、男の何かを逆撫でしたのだろう。
 だがいい。
 口元の傷をぺろりと舐めて、あまねはひとりごちる。
 打てばいいのだ。
 自分に与えられる暴力や敵意が、理不尽であればあるほど、あまねは安堵した。ああ。これは罰だ。自分はこの泥沼の中で一生を送ればいい。それこそが安寧ではないのか。
 誰も愛さなければ、誰も傷つけない。
 それでいい。
(そう)
 あまねはそっと、傍らの生き物を見る。少しだけ重い。その重さは、あまねにじわりとした痛みを与える。ぬくもりと、痛みと、胸に湧く何か。
(……)
 愛情と、嫉妬。
 そのどちらがどれだけ重かっただろう。
 間違いなく愛おしい。血を分けた兄弟。
 間違いなくねたましい。見返りなく愛するという、ただそれだけのことを、やすやすと成し遂げてみせる無防備な生き物。ただの馬鹿。
「ん」
 不意に、その瞼が開く。
 あまねの、闇色をした瞳を、翡翠のそれが捕まえる。
「あー、ちゃん」
「寝てろ」
「ここ、どこ」
「電車。まだ着かない。いいから寝てろ」
「あーちゃんは」
「ぼくは……」
 いい。
 言いかけて、密月の髪を撫でてやる。
「ぼくも寝る」
「ん」
 そこでようやく、彼の小さな弟は、満足したように目を閉じる。あまねは小さくため息をついて、窓の外を見た。
 車窓は駆け足で逃げていく。
 月日もいつか思い出に変わる。それなのに終わらない。
 この、愛おしさと憎しみは、いつまでも続くのだろうか。
(ぼくが裏切った)
(ぼくを裏切った)
 この、愛おしい生き物。
 あまねは思う。
 現世でも、これは誰かを泣かすのだろう、と。
 ならばせめて、現世では――現世で見つける愛する誰かよりは、一分一秒でも長く生きてやるといい。そうして、ぼくがしたように、愛するもののために泣くといい。
(ぼくの手から離れて)
 しあわせに、なるといい。

 こぼれたため息は、細く長く――闇夜に吸い込まれた。
***

 PLより:
 密月が「しあわせ」になれたので、
 ふと書く気になった一本です。
 もちろん、あまねもそうなると思う――
 というか、彼らは、彼らが愛する人たちが生きている、
 というただそれだけでしあわせになれる。

 そう思います。
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