*PBMを遊ぶ人のゲームメモ。架空世界の話メイン。
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Guiltiness?
2007-06-11 Mon 11:21
 のっそりしてます。Sieです。

 宵闇ブログのほうで公開したプラリアなのですが、そろそろこちらで公開しても良いかなー、と、思ったのでこそりと。
 密とあまねの会話。それだけの話です。



No.P×OXX54 担当:Sie
「償う術はただひとつ」
(このプライベートリアクションは、以下の行動選択肢を選ばれた方の全てに送られています)
■プラリアを読む

――――――――
 罪は償うべきだろう。
 ――だが、どうやって?

***
 夏も終わり。
 秋の気配を顔を出し始めた、ある日の昼下がり。
 学食の片隅、中庭に面した窓際の席で、ひとつ椅子を挟んでふたり、男子高校生と、大学生と思しき青年が並んでいる。
「……アレは?」
「アレって……人をモノ扱いするのん、ほんまにどうかと思うわぁ、穂積センパイ」
「……痒い」
「何が」
「ミツにセンパイとか言われるの」
 苦笑する青年は、ランチ・プレートの大半を平らげて、フォークのはしでプチトマトを弄んでいる。ぷすりと刺されたそれが口元に……小さな絆創膏を貼ったそこに運ばれるさまを見ながら、ミツと呼ばれた男子学生は唇を尖らせる。
「うちはようやく呼び慣れて来たんや。今更変えろとか言わんとってよ、あーちゃん」
「へいへい。分かった分かった。分かったから、あーちゃんって呼ぶの禁止な」
「分かればええねん」
 ミツ――腕密月と、青年――穂積あまねは、みっつほど年が違う。密月が卒業すると、あまねも卒業する。そんなことを繰り返して、同じ学校に居たのは、小学生の時分――まだふるさとに居た頃の話だ。
 高校と大学に別れ、接点が無いように見えるふたりがこうして共に食事をするのは、少なくなった。けれど、珍しいことではない。

 190を2センチばかり越すあまねは、長い足を折りたたんでスチールの椅子に座っていた。少しばかり伸びた黒髪も、闇のような瞳も、傍らに座る少年――密月の淡い色――絵本から抜け出てきたような蜂蜜と翡翠の色には、似ても似つかなかったけれど。170には少しだけ足りない、けれどすらりとしたシルエットは、ほんの僅か人目を引く。
 かれらは、はんぶんだけ兄弟だった。
 それを口外しないこと、と、決めるともなしに決めたのはあまねだ。嫌がりもせずに頷いたのは密月で、その小さな秘密は、八十神に来て数年間、守られ続けていた。

「で」
 トマトを平らげて、ご馳走様をしたあまねは、ふたつめのサンドイッチに手を出したばかりの密月を見る。
「アレは、今日は居ないの?」
「……アレとか言うの止めてぇな。あと、アーキタイプのことでからかうのもアカン。穂積はん、そういうの気にせえへんから先に言うとくけど」
「直接口を利くつもりはないから安心して」
「……」
 密月は少し思案しているようだった。
 アレ、と、呼ばれているのは、先日密月が食堂でであった、ヴィクトールの輪契者のことだ。元気の良い彼女は、事あるごとに――しょっちゅうではない。けれど、狭いこの町の、まして学園内の学生同士だ。全く出会わない、というのも難しい。
 そんな事情で、出会うたびに、あれやこれやと話を聞かせてくれた。
 ――たぶん、会話をするために水を向けてくれているのだろう。
 ただ、彼女が話すのがほんの少し人より早く、密月が答えるのが、ほんの少し遅いだけだ。たぶん。

 犬が懐くのに似ている、と、ほんの少しだけ思う。

 ただ、狼と犬を混同することは、恐らく彼女が一番に嫌うことだろう。それに密月は狼を知らない。だから比較も出来なかった。
 ただ、何故だかは分からないけれど――懐かしい、と、思うのだ。同じことがあったとは、今すぐに思えない。けれど、だが、懐かしい。
 この城輪町自体が、懐かしいと言えば懐かしいのだし、それが特別なことかどうか、密月には分からなかったのだけれど。

 彼女が――犬王ジョウが、困っているのを見たときに。

 まるでそれが自分の役割であるかのように、自然に身体が動いたのだから仕方が無い。
 そう説明したときのあまねの顔が、密月の脳裏に蘇る。
 だから少し、声のトーンが落ちた。

「毎日一緒にいてる訳とちゃうよ」
「ふうん」
「なぁ」

 密月が、牛乳のパックにストローを刺す。
 こいつはいつも牛乳を飲んでるなぁ、という顔のあまねを――つまり、ぼんやりした顔のあまねが静かな、読み取れない表情をしていることに、密月は一抹の不安を覚えた。

「……痒いんやけど」
「何が?」
「なんか」
 何、と、説明できることならば、密月とて悩まない。
 ただ、何かひとつ欠けているような、何かひとつ足りないような、そんなもどかしさ。胸の奥が、きゅうっと萎縮するような気配。
「そう」
 あまねは笑った。優しく。
 それは密月に、重くのしかかる。それは罪悪感だ。
 彼女のことは関係ない。事あるごとに思い出す気持ち。守れなかった、と、思っている。何故だろう。分かっている。
 あまねが独りで苦しんでいるとき、自分は何も知らなかった。
 あまねが独りで苦しんでいるとき――自分は助けられなかった。そんなことを、いつまでも覚えている。現世の記憶。八十神に来る前の、来るきっかけになった、……『家庭の事情』を、密月は知っている。ただ、それだけのこと。
 ただそれだけのことが、忘れられず越えられない。

「ちゃんと食えよ」
 それだけ言い残して、あまねは立ち上がった。
「……うん」
 寂しかった。
 兄の役に立てない。

 独りきりにしてしまった、という思いと、独りになってしまった、という思い。
 償わなければ成らない。
 けれどどうやって。

 ――自分の罪も、知らないのに。
――――――――

■咎人五題(下記サイトから借用)
 site name :: リライト
 master :: 甘利はるき様
 url :: http://lonelylion.nobody.jp/

■PLより:
 第1~2ターンくらい、兎に角、密月とジョウさんが知り合って間もない、ゲームも始まって間もない、そんでもって密月とあまねがまだ同居している、そんな状況、の、つもりで書きました。

 あ、アレ扱いかよ……!(ごめんなさい……!!!)

 実際、あまねとジョウさんが出会ったら、それほどぶしつけではない、と、信じたいですが信憑性に欠けます……。
 snさんちのプラリアと、続いているといえば続いているのかも?
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