*PBMを遊ぶ人のゲームメモ。架空世界の話メイン。
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P.R.
2007-05-07 Mon 23:00
 あまねプラリアです。
 アクションに添付したもの、を、名称を一部伏せています。
 そういえばアップしておりませんでした。宵闇でもヘイキって方は続きをどうぞ。

No.P×OXX48 担当:Sie
「パズル・ピースのように」
(このプライベートリアクションは、以下の行動選択肢を選ばれた方の全てに送られています)
■プラリアを読む

――――――――
 ――優しく、したい気分だったんだ。

***
 携帯電話が通話に切り替わる瞬間は、いつだって唐突だ。
「もしもし。ぼくだけど」
“……”
 息を呑む気配。
「どうしたの」
“それはこっちの台詞っすよ。今何処に居るんすか”
 直ぐに切り返された声は、何処か少し怒っている。心配、してくれていたのだろうか。
「うん。それなんだけどね。寮へは……」
 少しだけ考えて、それから続ける。
「もう暫く帰れない」
 予感はしていた。
 電話口の向こう。相手の声が、ワンオクターブ下がった。
“ひょっと…て、結界、の、せいっ…か”
「ご名答」
 あまねは声だけで笑って見せた。
 携帯電話を片手に、赤毛の少年が眉を寄せるさまが見えるような気さえ、した。
「前に話したっけ? で、……どこまで伝わってる?」

 声に出さずに、呼んだ。

***
 指先が、震える。

 窓の外には、遠き過去の王都。
 その影に、もっと沢山のことを考えても良かった。危機感を覚えても良かった。死はいつだって恐ろしい。あれはいつか実体化して、我々の頭上に落下してくるかもしれない――しかし。

 幻の城に見下ろされながら、穂積あまねは自分の手を、包帯に巻かれた左の手を見つめながら、先ほどまで肌を重ねていた、あの少年のことを想った。それ以上のことは考え付かなかった。
 ……愛し、愛されたいと願う相手を見つけたのに。

 それは、あまね独りのことでは無いと、あまねは想う。

 密月も。
 あまねのたった一人の肉親も、恐らく今、ここ、宵闇館で、切ない想いに身を焦がしているはずだ。泣けば良い。怒れば良い。
 今まで、ただの一度だって弾けさせたことのない、うじゃけた傷を、あの子はようやく自覚できるはずだ。それがどんな痛みを伴うとしても、諦めて死ぬよりはずっと良い。
 知れ。そしてあがけ。

 ――そう、あまねは考えていた。

 だから、この場所が密月を傷つけ、苦しませる場所であることすら望んだのだ。
(……そう言ったら、怒るだろうな)

 諦めて、欲しくなかった。

 密月が何度も、何度も騙され謀られて、また、自ら絶望して「死」を選んできたことを、あまねは識っている。時折、何もかも投げ出したような、遠い目をすることも知っていた。きょうだいなのだから。
(……)
 知っていたからこそ、解っていたことがある。
 密月の心は、自分ではどうにも出来ない。
 癒すことも傷つけることも。
 愛しながら妬み、憎みながら受け入れる――そして拒み続けることしか出来ない自分の、歪んだ心では、あの子を包み込むことは出来ないと、あまね自信こそが諦めていた。
 放り出したシャツに皺が刻み込まれていないことを確認して、袖を通す。汗の乾いた肌に、布地はさらりと触れた。

 体温が懐かしい。
 今手放したばかりの、心体が懐かしい。

 長く伸びた黒髪を後ろへ流すと、自分のものではない匂いが漂う。仔犬を抱いた後のように、両の手にはあの子の残り香がある。
(……邦夫)
 名前で呼んだ。
 拒まれなかった。
 恐らく、演技ではなく。
 女郎の誠と卵の四角は、存在しないものの喩えとしては優秀な例だと、あまねは思う。だが、存在を目視できない「何か」が、この世の中にどれだけあるだろう。
 喜びも悲しみも憎しみも愛も、目には見えない。
 一瞬の飛沫だ。

 泣けば良い。
 苦しめば良いと、ずっと思っていた。

 どんな痛覚であろうとも、感覚があるということは、生きているということだ。心が死んでしまうよりも、痛みを感じていたほうがずっといい。
 そう思って、いたのに。

(……)

 想像する。
 例えば、自分がここから居なくなれば。
「ここにいてくれる?」
 そう問われて、是と答えた自分が姿を消せば、あの子は裏切られたと思うだろう。悲しみを覚えるはずだ。
 悲しみを覚えるということは、そこに情が存在した証明に成る。
 皮膚を切り裂くことで血が流れることを証明するかのような真似事を、あまねは愛していたはずだった。なのに。

 想像する。
 夢崎邦夫の顔が――悲しみに歪むところを。
 それが、自分に起因することを。

(……)

 苦、かった。
 感心を覚えなかっただけに留まらなかった。苦いのだ。舌の上に置くことすら想像したくないほど。
 見たくも無い。想像すらしたくない。
 思考は一瞬で閉じた。閉じたのに消せない。まるで悪い夢のようだ。

 幻に背を向け、窓辺に座り込む。
 小奇麗に整頓された室内に視線をめぐらせ、あまねは小さくため息をついた。

 愛とは何だろう。

 あまねはずっと、密月を愛しているつもりだった。

 強い感情を向けられれば、それは全て受け入れてきた。
 ただひとつ。
 愛を除いては。

 向けられる笑顔も、幼い親愛も、どれも愛おしく当たり前のことだった。そして――無条件に過ぎた。
 自分はこんなに下らないのに。
 いつだかお前を傷つけたのに。
 何故そんな無条件に、ぼくを愛するのか。

 ――ああ、そうか。
 知らないんだ。忘れたんだ。ぼくがどんなに酷い男か。

 ――それなら。
 ――ぼくがどんな屑か、思い出させてやればいい。

「……馬鹿だね」

 あまねは心からの微笑を浮かべる。
 後悔していた。
 前世のことも。現世のことも。
 そしてそれが、二度と取り返しの使い事だということも、十分に理解していた。瞼に浮かぶ景色は、いつだって残酷だ。
 愛する人は、いつだって他人のもので、奪い取ることは相手を不幸にした。自分が愛しさえしなければ、相手は幸福に生きることが出来たのではないかと、何度。何度繰り返し思ったか判らない。
 忘れてしまったこともある。
 目の前に浮かぶ、胃の腑が焼ける様な景色は、頭を横殴りされたかのような揺さぶりとともに消える。苦痛だった。それでも。

 ――指先が震える。

 やり直したいとは思わない。
 助けてもらいたいとも思わない。
 今まで歩いた道がなければ、穂積あまねはたどり着けない。

 ――夢崎邦夫まで。

 今までどれだけのものを、踏みにじってきたのだろうと、あまねは思う。他者を。何かを。自分の心を。
 粉砕機にかけられた自分の心は、もう元の形には戻れないかもしれない。ばらばらに千切られたそれは、どんな形をしていたかもわからない。
 自分がそうされたように、自分も誰かを傷つけたか知れない。

 理解しあえないことで擦れた心を思う。

 ――自分の手で。
 ――守れるものが――あるのだろうか。

 窓の外から風が吹き抜ける。空気はだいぶ入れ替わったが、窓を閉じる気にはなれかなった。
 上着を片手に、廊下まで出る。
 そこはしんとしていて、人の気配は無かった。

 ポケットから携帯電話を取り出す。
 リダイヤルでもアドレスメモリからでもなく、あまねは手早く11桁の数字を入力する。
 通話は存外、早く繋がった。

「もしもし。ぼくだけど」
 ――……やさしく。
――――――――

■PLより:
 ご拝読有難う御座います。色々お恥ずかしいです(笑)。

 あまねは宵闇館へ来て、変わったんじゃないかなと思います。出来なかったことが出来るようになったんじゃないかな、とも思います。
 ……親ばかです(苦笑)。
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