*PBMを遊ぶ人のゲームメモ。架空世界の話メイン。
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P.R.
2007-05-05 Sat 10:35
 ちょいとボーイズがラブなプラリアです。
 大丈夫な方だけお先へどうぞ。あまね×玖音くん(を、お借りしました)です。

***
No.P×OXX49 担当:Sie
「遊戯のように」
(このプライベートリアクションは、以下の行動選択肢を選ばれた方の全てに送られています※【BL】注意)
■プラリアを読む

――――――――
「……ほづみ、居る……?」

***
 遠くで夕方の時報が鳴っている。
 部室の窓からは城輪町を染める夕日が、建物で切り取られ隠された地平へ向って落ちていくのが見えた。
 柊儀玖音は、茶道具を仕舞いながらそれを見ている。

 一通りの片づけを終え、他の部員は三々五々帰宅してしまった。
 お茶の味は、口の中に広がる苦味と共に、ふわりとした甘さと、心を静める何かを与えてくれる、ような気がする。精神を落ち着ける――そんな何かが、凪のように広がっていて、ざわめきを落ち着かせてくれる。
 そうして落ち着けた精神は、廊下に出たとたん、ざわりとあわ立つ。

「ちゃんと片付けときなよ、穂積!」

 階上から降りてきた、上級生らしい女生徒の声。足音にかき消されるように、でもかすかに聞こえる返答は、玖音の知った声――穂積あまねの声だ。
「……」
 戸締りを施そうとした扉の影で、軽やかな足音を聞く。
 それが遠ざかるのを確かめてから――ぱたん、と、立て付けの悪い戸を閉める。
 踊り場を、長い髪がゆれながら消えていくのが見えた。ふわりと、華のような香りが残っている。

 ――上の――弁論部の部員だろうか。

 夏の暑い時期、窓が全開になる季節以外で、階下まで彼らの声が漏れ聞こえてきたことは、今のところない。だから、同じ棟に彼らの部室があることを、入部して随分長いこと、玖音は気づかなかったものだ。
 開け放たれた扉から様々な答弁が聞こえたときは驚いたし、新鮮でもあった。
 ……だが、同じ夏は二度と来ない。
 今年の春には……もうあと、さほどの時間をおかず、『彼』は卒業する。

 廊下には、乾いた埃の匂い。
 しんとした、水を打った後のような。
 少しの躊躇いの後、――玖音は階段を上った。

***
「どうぞ」
 返答は簡素だった。
 扉には、相変わらず施錠されていない。
 違うのは、棚に置かれた瞬間湯沸かし器が作動していること。
 口にくわえていたコンビニ売りのおにぎりをテーブルに置いて――それはまだセロファンに覆われていた――あまねが口を開く。
「飲む? 紅茶っぽい色と香りがついてるだけのインスタントだけど」
「……」
「ホントはせめて、紅茶らしい紅茶を置きたいんだけど、そんなの気にする連中ばっかりじゃないからね。残念ながら。ああ、砂糖はあるよ」
 ほづみはおしゃべりだ、と、玖音は思う。
 始めてその声を聴いたとき、それはぶつけるための武器のような鋭利さで、こんな風に日常に用いられることは想像だに出来なかったのに。
 こくん、と頷いて、手近なスチールの椅子に腰掛ける玖音を見て、あまねは僅かに笑った。
「……何」
 玖音としては、あまねの手元に何本も握られたスティック状の砂糖を笑いたい。何本入れる気だと。
「いや」
 ぶっきらぼうな返答すら面白いのか、にやにやと笑いながらあまねが答える。
 何故笑うのかと問いたかったが、どうせろくな答えは帰って来まい。
「今から食事?」
 話題を切り替えることにした玖音は、テーブルの上にころんと転がったおにぎりを見る。
「うん。昼飯」
 さらりと告げて、あまねはお茶を淹れる。
「昼っ……?!」
「喰えなかった」
「忙しかった……とか?」
 それにしたって、夕方と言っても良い時間まで。
「ん……囁き。はい」
 マグカップに入れた紅茶を手渡しながら、あまねが言う。
「拒食症じゃないよ。ただ、一度気分が悪くなると、ものを食べる気が失せる。何も喰わずに帰るつもりだったんだけど、部員が置いてったから、義理で」
「……」
「まあ、見たら腹も減ったしね」
 おにぎりのフィルムをぴぃっと剥がしながら、あまねは玖音を見た。
「……何日もこう、って訳じゃないよ」
「夕飯もちゃんと食えよ」
 マグを両手で包み込むようにして、玖音がこぼした。
「うん」
 頷きながらも、それは他人事のようで――表面をなぞるだけの返答だと、玖音には感じられたが、言葉で解決できるような問題なら、それは囁きではなく、また、深刻な問題でもない。
 もやもやとしたものを抱えながら、あまねの指先に視線を置いて、玖音は一瞬目を疑う。
 機械的に三角に整えられていたはずのおにぎりは、海苔を添えられた後。

 ぱっかりと半分に割られていた。

「……」
 手の中のお茶のぬくもりだけが、時間の経過を示す。
 あまねはそのまま、おにぎりの中心部を確かめると、中に何も入っていないことを悟ったらしく、おにぎりを上下に返す。食べるために半分に割った、訳では無さそうだ。
「……ほづみ?」
「うん?」
 ひっくり返したおにぎりの上部、中心部辺りに、上から乗せられたとおぼしき梅干を見つけ出すまで、あまねの探索は続いた。ひょいとそれをつまみ、フィルムの上に乗せる。カリカリとした小梅はとてもおいしそうに見えたのだけど。
「梅干……食べられないのか?」
「そんな事は無い」
 非常に行儀が悪い状態になったおにぎりを、ぱくんと口に放り込んで、あまねは答えた。
「種が無ければ食べられる」
「……梅って、種があるもんだろ」
「……」
 もぐもぐやりながら、あまねはついと横を向いた。
「歯に当たる」
「え?」
「噛むと割れるだろう」
「……」
「だから先に出しておく」
「……ほづみ」
 半ば呆れ、半ば感心して、玖音はあまねを見る。
 指についた米粒を舐めとるさまは子供じみて――拗ねた子供のようだった。
「力加減ってものを知らないだろ」
「梅干だけだ。口の中で割ったことがあって、それがとても嫌だったってだけで、種があれば何でも駄目だというわけじゃない。食べなくても別に困らないし」
「いつもそうして食べてるのか……?」
「……中身が梅干か、何が入っているかわからない時は。……面白そうだな、玖音」
 面白いのはあんただよ、ほづみ。
 そう、喉まででかかった言葉を飲み込んで笑う。と、言うより、笑えてしまって、玖音は口元を押さえて横を向く。
「食べ物を粗末にするのは駄目だろ、ほづみ」
「梅干は非常食だから良いんだよ。非常時にだけ食べれば」
「……」
 おかしな理屈。玖音は喉の奥で笑う。
「笑うなよ」
「…………ぷはっ」
「口塞ぐぞ」
 おにぎりを食べ終えたあまねが言う。唇を尖らせて拗ねるあまねは――はじめてみたかも知れない。平常を装っているのが逆におかしかった。

 あまねの『いつも』はそうなのだろうか。

 玖音の知らない――あまねの普段は、こうなのかもしれない。
 例えば、自分以外の誰かは。クラスメイトは、家族は、先ほど立ち去った女生徒は。

 あまねの『いつも』を、知っているのだろうか――

 あまねのカップが、かたんと音を立ててテーブルに置かれる。
「笑わなくてもそうするくせに」
 玖音が、……静かに微笑を浮かべた。
 あまねがもう一度、指先を舐める。左手を覆う包帯。その隙間から傷跡が覗くことに、玖音はもう気づいてしまった。あれはもう乾いている。癒えている。身体の、傷としては。
「まあね」
 あまねは笑った。
 唇の端を引き上げる笑い方――瞳を細めるシニカルなそれは、玖音を見ていない。
「じゃあ、塞ぐのはやめとく」
 立ち上がったあまねが寄り添う気配が、その影が、玖音にかぶさる。
 スチールの椅子が、律儀に悲鳴を上げた。きしりと。あまねの手は大きい。背もたれはそれに絶えうる力をもたない。だから鳴く。
 鳴き声を遠く聴きながら、唇が塞がれても、玖音は逃げなかった。
「……塞がないんじゃなかったのか?」
「うん、だから」
 あまねは――笑った。
 柔らかく瞳が動く。玖音の黒髪を後ろに撫でて、その下に覗く瞳へと、闇色の視線を送る。玖音へと。
 ああ、笑った。
 玖音は思う。
 あまねの笑い方には幾つか種類があって、本当に嬉しそうな顔をするときと、そうでないときがあるのだと。こちらを見て、ちゃんと、今。笑った。
「これはただのキス」
 言うあまねは、本当に嬉しそうで。
 子供じみた理屈が、妙にくすぐったかった。

 てのひらで、弄ばれる午後。
――――――――

■PLより:
 おにぎりネタです(きっぱり)。

 あまねが高校3年、玖音くんが、ちゅ……ゲフンゲフン。
 弁論部の部室はもうなんか私物化もいいとこに弄ってますね。すみません。設定もなんか基盤が甘いのでアレコレ怪しいですが、その辺りは自称ってことで見逃してくださいませ……。
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