*PBMを遊ぶ人のゲームメモ。架空世界の話メイン。
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Private Reaction
2007-02-06 Tue 20:30
 ご無沙汰しつつもあわただしい日々を送っております。――アクションの内容を思い出すだに、蝦のように「ぴょーん」と後方に逃げ去りたい気持ちで一杯でありますッ……!
 さて。第1回目辺りのプラリアを引っ張り出してきました(お茶を濁してみる)。「花魁の思い出」からの連想です。
 たくあん2枚分くらいのボリューム、が、あると良いなぁと思ったりしつつ(初出展は宵闇ブログのほうなので、そちらで既にご覧下さった方にはごめんなさい。そのまんまです/汗)。

 リア待ちに。

***
第1回プライベートリアクション
No.P×OXXO9 担当:Sie
「子供のように」
(このプライベートリアクションは、以下の行動選択肢を選ばれた方の全てに送られています)

■プラリアを読む

※注意キーワード:【前世】【夢オチ】【ですがオチてない】
――――――――
 夢を見た。

 視線の先には、畳の目と自分の手。
 座敷の奥、暗い部屋は、何時の時代だか分からなかったが――そこが日本で――少なくとも、体を売買する事が法律で禁止される前の話だということは理解できた。
 売られた。
 買われた。
 主人の声はまだ若く、仲介人の声は油のように耳に障る。

 ただ、ちょこんと座って。
 ただ、ただ、体を硬くしていた。

「小せぇな。毛色は珍しいが――幾つだ?」

 若い男の声。尋ねられた仲介人が、両手に満たない数字を述べる。
 他人事のように響くその数字が、自分の歳。
「細ぅおますけど、大きゅうなりますえ。見て頂いたら分かりますけど、色が全然違うんどす。肌がまた一色白ぅて。お買い得でっせ」
 会話はやはり、他人事のようだ。
 仲介人の――人買いの文句に、主人の――若い男の気配が鋭くなる。

「一つ聞くが」
「へぇ」
 人買いが焦る。裏をかかれまいと焦る。焦りを出すまいとして、焦る。
「じゃあなんでこんな安いんだ?」

「……へぇ」
 ほら、来た。
「……隠せまへんな。旦那とは古い付き合いどすし――それが……“傷物”なんどす」

 夢の中で『私』は思う。

 どうせまた気味悪がられて、他所へやられるのだ。これでもう何件目だか忘れたが、どうせ暴かれて捨てられるのなら、早くとも遅くとも構わない、と。

 男の気配は、値踏むようにこちらを見ている。
 うつむく先、畳の目の上に、自分の――きんいろの髪がかぶさる。まだ、一人として同じ色を見ない、不気味に薄い色。
 ああ、そうか。
 この碧の眼を見たら、この男も嫌がるだろう。珍しいものを、忌避すべきものを見る目で自分を見るはずだ。そうしてくれ。そうして、自分を。

 ――あの、雪の積もる国へ還して。

 気持ちはうなだれていく。

 ――それは無理だ。

 気持ちは震えている。
 男達の会話に乗せられているのは自分のことだ。
 幾ら他人事の様でも、自分のことなのだ。
 それは恐ろしい。どうしても恐ろしい。

 けれど。
 一縷の望みをかけて。
 全部の力を込めて、顔を上げる。

 全ての悲しみと怒りと、そうして受けた理不尽に、負けて成るものかと、顔を上げた。
 見上げた先、若い男を、キッと睨む。
 そうすることで、自分を諦めてくれることを、淡く確かに期待しながら。

 男は、瞬間驚いた様子に見えた。

 死にかけた小動物に噛み付かれたとでも思ったのか。
 しかしその唇は、瞳は、心底愉快そうに歪んだ。

「……ほぅ」

 喰いつかれたかと思った。
 男はにやりと笑っただけなのに。
 そのまま、傷は何処についてるんだ。もうお手つきなのかと、言葉が続く。
 そうではない、おかしな模様があるのだと、油の声が答えて、口を開けろと命じられる。

 そこで、自分がおびえていることに始めて気付く。

「舌の上に、なんぞ在るんどす。よぅ見なわかりまへんし、病気ともちゃいます。普段は見えまへんけどな」
 見せろとも何とも言わぬまま、腕を掴まれて引き寄せられる。嫌がって身をよじる自分の力が、人の体のように重くて鈍い。
「……!」

 男の腕は。手は。大きくて。
 自分の顎など握りつぶされてしまうほどに。

「クチ開けな」

 男の顔は。なぜか思い出せない。
 あの鷹の目、低く響く声、あの手、全て覚えているのに思い出せない。
 少しの攻防のあと、意味を成さない抵抗のあと、舌を掴まれた。噛み付くなよ、と、笑う男は、心底楽しそうに、そこにある印――紋章を見た。

「ははあ。こいつは愉快だ。親父、良いぜ。言い値で買おう。こういうのを躾けるのが、俺ぁ好きなんだよ」

 へぇ、と、後ろで仲介人が頷いた気がしたが、そのやり取りもまた、他人事のようだった。

 思い出せない。

 何も何も、思い出せない。

 男の名も、姿も、かたちも声も、どんどん薄れていく。ああ、それは、彼は、確かに『彼』だったのか?
 何もかも曖昧になっていく、泥のようなまどろみで、ひとつだけ確かなことは。

 この魂に。
 あの男の匂いが染み付いたことだ。

「――ッ」

 叫びそうになって、身をよじる。

 目を開くと、そこは、『夢』ではなかった。
 触れたシーツが生暖かい。
 喉の奥が干からびていなければ、この体が自分のものかどうか、自信が持てなかったかも知れない、と、密月は思う。

「……最悪や……」

 嫌な夢を見た。

 体を犯される夢ならば、まだいい。
 だがあれば、心を踏みにじられていく夢だ。
 乾いた喉をさすり、布団から身をはがす。寝起きにしては珍しく、頭が冴えていた。
 水を――ああ、牛乳がまだあっただろうか?
 一人暮らしの学生にしては広めのキッチンで、グラスを探り当てて、それを両手で握る。

 ぐっと。
 握るその手が、僅かに震えている。

「……あかん……」

 その場に、崩れる。
 声を出さなくては、何かに潰されてしまいそうだった。声を出せば、あの前世(とき)仕込まれた西の言葉が零れ落ちる。染み付いて取れない。
 鎖に繋がれる苦痛だって覚えている。
 様々な理不尽を怒った事だってある。

 だが。
 真に恐ろしいのは、自由を求める心が萎えてしまうこと。

 座り込んだ床が冷たい。
 コップに唇を押し当ててみる。
 頬に当てるとそれは冷たい。

(あかん)

 一人が――寂しいと思ってしまうのは、辛い。
 もどかしいほどの感情が、胸の奥で渦を巻いていくのが分かる。それは、辛かった。

(……アカンねん)

 “それ”が何かは分からない。分からないが、心が丸ごと押しつぶされるような、そんな感覚。
 感情とは無関係に、しかし強く揺さぶられながら、体の置くから涙腺を通って、涙が出た。

(何が――アカンのん……?)

 夢を、見た。

 今はもう、何からも解かれていて良いはずだ。鎖に繋がれてるわけでも、誰かに囲われているわけでもなんでもない。
 自分はもう、自由なはずなのに。

「……雪、見たいなぁ」

 泣いて、目が覚めた。

――――――――
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